もう一度観たいあの映画 VOL.26 『リトル・ミス・サンシャイン』
監督:ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス
【STORY】
フーヴァー一家の娘である、オリーヴ・フーヴァーは、ビューティー・クィーンになることが夢である。小太りの眼鏡っ子だが、美人コンテストのビデオを熱心に研究している。兄ドウェーンは筋肉トレーニングが日課。そして、一家と同居するグランパは、ヘロイン吸引で夢見心地となっている。叔父のフランクは自殺未遂で病院に入院していたが、オリーヴの母シェリルに自宅に連れ戻された。大学でプルーストの研究をするフランクは、ライバルに恋人を奪われたことにショックを受け、手首を切ったのだった。全員揃った一家で夕食中、次から次へと不穏な話題が飛び出す。そこで、父リチャードは、妻と娘に留守電メッセージが入っていたことを告げる。留守電を再生すると、「リトル・ミス・サンシャイン」コンテスト地方予選の優勝者が失格となり、繰り上げ優勝となったオリーヴがカリフォルニアのレドンド・ビーチで行われる決勝出場資格を得たという。狂気乱舞するオリーヴ。飛行機代を捻出する経済的余裕はないので、一家全員がおんぼろのフォルクス・ワーゲン・ミニバスに乗り込んで、一路カリフォルニアを目指すことになった。フーヴァー一家は果たしてカリフォルニアまで辿り着くことができるだろうか?
【COMMENT】
まずは、フーヴァー一家の家族構成から説明します。
パパ=チャード、企業に自身のキャリアアップセミナーを売込中。家族には「ルーザーズ(負け犬)」にはなるなっと言っているものの、企業と契約できるかどうかは微妙な状況。というか、むしろ危うい。ママ=シェリル、おおざっぱ、合理的…、そして優しいけど、時々怖い。兄=ドウェーン15歳、ニーチェに心酔して「沈黙の誓い」中で、家族とは9ヵ月も口を聞いていない。グランパ、なんとヘロインの常習者!老人ホームを追い出されて家族と同居中。叔父=フランク、大学教授でゲイ。若い教え子にふられ自殺未遂。病院から一人にならないようにとフーヴァー一家に面倒をみてもらうことに。娘オリ-ヴ7歳、小太りの眼鏡っ子だけど、美人コンテストに出場するのが夢。目標に向かっている姿は、フーヴァー家の中でも一番ブレていないかもしれません。
こんな家族が全員揃って夕食をするところから映画は始まります。ここ笑えます。
ママが用意した夕食は、チキンバスケットとサラダ、そして飲み物はスプライト。「今日はお皿じゃなく、紙皿ね」みたいなことをママが言いますが、たぶん毎日紙皿です。そしてコップ、ハンバーガーショップの景品とか、おまけでついてきたようなコップで、バラバラです。大の大人がこのコップでスプライトを飲むだけで笑えますね。
そんな食卓で、グランパが「毎日毎日チキンで、もううんざりだ~」と文句をつけるのですが、言葉の中に「FU・K」を連発するんです。7歳の女の子がいるのに、このおじいちゃん、ちょっと手が付けられません。グランパ役のアラン・アーキン、この演技で米アカデミー賞助演男優賞を獲得します。
この賑やかすぎるフーヴァー一家の食卓シーン、フランクの自殺の経緯などまだまだ笑えるシーンがあるので、お見逃しなく。
この一家がオリーヴのために、ニューメキシコから美人コンテストが開催されるカリフォルニアにおんぼろバスで向かいます。カリフォルニアへは1,280km、1泊2日の強行旅行です。当然道中も様々なアクシデントが起こり、退屈することなく、隙間なく笑わせてくれます。そして美人コンテスト会場へ。コンテストには歌かダンスを披露する課題がありますが…オリーヴが選んだのはダンス、しかもおじいちゃんの選曲と振付け…期待するしかありません。
この映画、観終わったら誰でもハッピーになれるので、カップルでもファミリーでも誰かと一緒に観るのがオススメです。もしケンカしていても観終わったら自然と仲直りしてしまうかもしれません。
オリーヴ役のアビゲイル・ブレスリン、「ゾンビランド」に続き、「ゾンビランド:ダブルタップ」にも出演しています。
◇『ゾンビランド:ダブルタップ』
スティーヴ・カレル、こちらはシリアスな演技です。
◇『ビューティフル・ボーイ』
監督のジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス、二人は夫婦なんですね。
テニスの男女の対決・エキシビジョンマッチを扱った映画も作っています。
◇『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』
もう一度観たいあの映画 VOL.26 『リトル・ミス・サンシャイン』
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